村尾在宅クリニック

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改良型ワクチンについて

2022.09.14

新型コロナウイルス、オミクロン株に対応する改良型ワクチン

新型ワクチンが、全国で9月20日から開始となります。

大牟田市はというと、残念ながらまだ市役所や医師会に問い合わせても正確な回答がございません。いつから開始できるのか、まだ不明のままです。

国は、『4回目の接種となる60歳以上の高齢者らを優先し、10月以降は2回目までを終えた12歳以上に拡大する。自治体には希望者への接種を年内に終わらせるよう求める。費用を公費で負担する「臨時接種」にも位置付けられた。』と発表しています。


感染力に関しては、BA.5がかなり厄介。 ウイルスが「置き換わる」という表現は穏やかそうですが、本当はウイルス同士が常に戦っている訳です。感染力が強いウイルスが先に多くの人を感染して、他のウイルスの拡大を阻止していきます。

その中、イギリスのデータが論文で出てきました。こちらは変異株の分布の時系列になります。BA.1(緑)がデルタを倒して、ほぼ絶滅させました。その後、BA.2(オレンジ)がBA.1と同じ事がでてきました。しかし5月から、その最強のBA.2にも勝てるチャレンジャーが同時に二つも現れました。それがBA.4とBA.5になります。

今現在、日本で問題になっている第七波は、このBA5です。

非常に似ているBA.4とBA.5の変異株ですが、どちらかというとBA.5の方が強敵に見えます。 WHOが発表した7月3日のデータでは、たったの4週間でBA.5の率が14%から52%に上がりました。 これからはBA.5が今までの変異株の拡大を抑えて、数ヶ月以内には世界のほぼ100%のコロナ感染がBA.5になるかと思います。
日本の第7波に関しては、「色々な原因がある」と考える人は多いですが、個人的にはBA.5の影響が一番大きいと思います。 他の国でも、BA.4⇒5の置き換わりによって感染の波が生じました。この図で赤がBA4⇒BA5の感染者数。日本でも同じ現象が起きているとすると、今の感染が殆どBA.5という事になります。
【重症化率】 最近日本で「BA.5が遺伝子がデルタに似ている」や「肺に感染するから重症しやすいかも」等、基礎科学の研究を紹介している報道があります。 しかし、既に5月から流行しているウイルスなので、基礎科学に基づいた憶測ではなく、海外の臨床データを注目した方が良いと思います。

こちらは4月からBA.4/5が流行している南アフリカからのプレプリントデータです。変異株別の重症化率(重症入院率+死亡率)を見ると: デルタ  3.0% オミクロンBA.1  1.7% オミクロンBA.4/5 1.6%

論文では、
『単純に見るとBA.4/5の重症化率がBA.1より低いですが、BA.4/5流行時の方がワクチンの接種率が高かったので、この影響を除く調整が必要になります。その調整をすると、最終的にBA.4/5の重症化率と死亡率はBA.1と有意義な差はない。 感染力は強いが、より重症化しやすい変異株ではなさそう。

BA.5の免疫回避により、一度コロナに罹ったことがある人でも再感染すると報告されています。しかし、今までせっかく獲得できた免疫が全て無意味になる訳ではない。 このデータでは、BA.5による再感染は多かったが、1回目の感染の患者より重症化率が77%も低かった。』

と締められていました。

改良型ワクチンの有用性について

有用性については、これから色々な論文が出てくると思われます。

今のところ、B.A5に対するワクチンですので、これを打てば「現在流行しているコロナウイルス」に対しては効果が高いと考えられます。しかし、インフルエンザと同じように、一定周期で形を変えるのがウイルスの特徴でもあるので、第八波が無いとは言えません。

基本的にはこれまで通りの、3密を避け、手洗いマスク着用が有用ですので、もう少しこれまでと同様の生活となりそうです。

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